テネレ700のノーマルシート高は875mm。一般に、最低適正身長は170~175cmとされます。
身長170cmの僕としては乗れるか微妙なライン。。
純正オプションで837mmまでローダウンできることはご存知の方も多いかもしれません。しかし、調べてみると見つけました。外部オプションで更にローダウンできることをご存知ですか?
結論から言うと、815mmまで下げられます。
このシート高なら、最低適正身長はおよそ160~165cmまで広がります。よっしゃああ〜。※本記事は安全性を考慮し、身長165cm以上の方へ向けています。
しかし、こう聞くとこんな風に感じませんか?
「安全性は大丈夫?」
「そんなに下げて乗り味は悪くならない?」
本記事では、これらの疑問に対する答えを含め、シート高815mmを実現する方法を、根拠をつけて紹介します。
なお、本記事での適正身長の基準は以下2点です。筆者の主観を含むことをご了承ください。
- シート真ん中に跨がり、両足のつま先が同時に地面に着く→サイドスタンドを安全に立てられる
- お尻をずらして跨がり、片足の母指球がしっかり地面に着く→信号待ち等、定点待機が安全にできる
シート高を60mm下げる方法
以下のオプションを取り付けます。
割と大掛かりな作業なので、バイク屋さん(できればYSP)に依頼するのが現実的ですね。
使用オプション
- DRC製フロントスプリング(楽天市場:税込8,538円+地域別送料)
- DRC製リアリンク(Amazon:税込5,568円)
- 純正ローシート(「Ténéré700 Low」の標準装備。別途購入で税込27,500円)
※TOURATECH製ローシートは、ローダウン幅の数値が不明であり、値段も102,800円と高額なため、本記事では対象外としました。
やり方
①DRC製フロントスプリングに交換し、10mmにセットする
全体のバランスをとるためフロントスプリングを短くしなければいけません。この作業をしないとチョッパーのような見た目になります。
②サイドスタンドを短くする
約15mm短くします。この作業をしないと安定して立てられません。
※実際の数値調整はバイク屋さんにお任せください。
テネレ700専用のショートサイドスタンドは発売されていません(2022.12.20現在 筆者調べ)。依頼するバイク屋さんに発注してください。
ちなみに、サイドスタンドは短くすると安定性が結構下がります。できれば、サイドスタンドベースエクステンション(Amazon:3,687円)をつけた方がいいです。
③DRC製リアリンクに交換する
シート高が40mm下がります。(純正オプションでは20mm)
④純正ローシートに交換する
シート高が20mm下がります。
調整
- 前後サスペンションの固さ調整(固いと高く、柔らかいと低くなる)
- フロントフォークの突き出し量調整(減らすと高く、増やすと低くなる)
現地で実際に跨りながら調整すると確実でしょう。
金額
純正ローシートを別途購入しない場合、およそ55,000円(うち作業代4万円とする)で、合計60mmシート高をローダウンし、815mmを実現できます。
※持ち込み可能と仮定した場合の費用です。持ち込み可能かも含め、実際の費用はバイク屋さんに電話でご確認ください。
※作業代はYSP刈谷に電話で聞いたおおよその額です。
仕上がりは?
結論
- 身長およそ165cm以上の方なら十分安全に乗れる。
- 身長およそ160cmくらいの方でも乗ることはできる。
根拠は以下2点です。
- 根拠①:足つきインプレ動画
- 根拠②:足つき一覧サイト
順に説明します。
根拠①:足つきインプレ動画
既に書いたよう、本記事での適正身長の基準は以下2点です。
- 条件①:シート真ん中に跨がり、両足のつま先が同時に地面に着く
- 条件②:お尻をずらして跨がり、片足の母指球がしっかり地面に着く
本記事で紹介する方法自体は、以下の動画を参照しています。
引用:「テネレ700の60mmローダウン!デモ車完成!まずは店長がチェック!! YSP刈谷」
しかし、この動画だけでは条件①②を満たすかはっきり分からないため、以下の動画も判断材料としました。
引用:「【第6戦・霞ヶ浦】「テネレ700ローは161cmの僕でも足が着く」原田哲也のTénéré700インプレッション」
引用:「テネレ700 Lowパッケージ」
動画から分かること
本記事で紹介する方法は動画Aです。
シート高(mm) | 身長(cm)/体重(kg) | 身長-シート高(mm) | 条件①(つま先同時着け) | 条件②(片足母指球) | |
動画A | 815 | 161/67 | 795 | ○ | ?(たぶん○~◎) |
動画B | 837 | 161/? | 773 | ?(たぶん×) | ○ |
動画C | 837 | 165/? | 813 | △ | ○ |
表からの推測
- 条件②はシート高837mmでも合格→シート高815mmなら余裕だろう
- 条件①を満たす基準は、「身長-シート高」=800mm付近?
※感覚的に分かりにくいですが、「身長-シート高」が大きい=シート高に対して身長が十分高く、足つきが良くなります。
根拠②:足つき一覧サイト
以下のサイトで、シート高がテネレに近いバイクを検索しました。
引用:「タンデムスタイル>足つき一覧」バイク足つき アーカイブ - タンデムスタイルバイクの足つきは自分にとってそのバイクが乗りやすいかどうかの重要な要素の一つです。そこでタンデムスタイルの誌面に今まで掲載されたバイクの足つきインプレッションをアーカイブしました!ぜひバイク選びの参考にしてみてください
検索結果
車種 | シート高(mm) | 身長(cm)/体重(kg) | 身長-シート高(mm) | 条件①(つま先同時着け) | 条件②(片足母指球) |
YAMAHA XT1200Z スーパーテネレ | 845 | 172/68 | 875 | ◎ | ?(たぶん◎) |
HONDA CRF1000L アフリカツイン | 870 | 172/68 | 850 | ○ | ◎ |
HONDA CRF1000L アフリカツイン アドベンチャースポーツ DTC | 890 | 172/68 | 830 | △~○ | ◎ |
表からの推測
- 「身長-シート高」が830mm以上なら、条件②は楽勝
- 条件①を満たす基準は、「身長-シート高」=830mm付近?
根拠①②を総合した推測
余裕をみて、「身長-シート高」=850mmなら条件①を安全に満たせそうですね。条件②は言うまでもなく満たしています。
シート高815mm(動画Aの方法でローダウン)のテネレに対し、「身長-シート高」=850mmとなる身長を逆算すると166.5cmとなります。
また、根拠①②は、試乗した方のバランス感覚・体幹等によって左右されるため、「身長−シート高」の数値はあくまで目安であることを考慮し、最初に示した結論を得ました。
安全性は?
結論から言うと、十分安全だと思います。
根拠は以下の通りです。
既に書いたよう、この方法は以下の動画を参照しています。
引用:「テネレ700の60mmローダウン!デモ車完成!まずは店長がチェック!! YSP刈谷」
配信元はYSP刈谷(公式HP)です。
YSP(正式名称YAMAHA MOTORCYCLE SPORTS PLAZA)とは、ヤマハスポーツバイク正規取扱店です。フランチャイズではないため、ヤマハバイクを整備することに特化した環境が整っています。
また、在籍スタッフがヤマハ公式が推奨するカスタムに詳しく、特にYSP刈谷では「ヤマハ整備士シルバー」(ヤマハ独自の整備士資格)を持つスタッフが3人おり、この記事で紹介した方法はそのうちの1人、石川博樹さん(店長)が実際に跨がり紹介しています。
電話で確認したところ、この方法でローダウンした車両はYSP刈谷から実際に2台納車されており、今までにオーナーからクレーム等はいただいていないようです(2022.12.20現在)。
以上を根拠に、十分安全だと判断しました。
乗り味は?
結論
100点満点でおよそ70~80点だと思います。(100点満点=ノーマル状態)
当然個人差が大きな点なので、人によってはもっと低く感じる方もいる可能性はあります。ここで書きたいのは、「本来の乗り味が完全になくなっている」「乗れりゃいいってもんじゃない」というレベルではないと思われるということです。
根拠は以下3点です。
- 根拠①:純正ローダウン車両のインプレ記事
- 根拠②:DRC製ローリンクのECサイトレビュー
- 根拠③:実際2台納車され、クレーム等がないこと
③は「安全性は?」で既に書いた通りです。①②について以下で説明します。
根拠①:純正ローダウン車両のインプレ記事
参照記事
記事A:「ヤマハ・テネレ700、ローダウン仕様&ローシートを試してみた。適応身長は170cm?175cmから?|1000kmガチ試乗でアレコレ感じたこと。①」
引用:Motor-Fan BIKES
引用:ヤングマシン
記事の要点(どちらも純正ローシート+純正ローリンクのインプレ)
記事A | 悪化点は、オフ車感ダウン・ハンドリング・ライポジのフィット感・ブレーキの違和感・乗り心地。ノーマルをテネレ率100%とすると、これは80%。 ちなみに、ノーマルシート+純正ローリンク=90%。純正ローシート+ノーマルリンク=85%。ローシートよりローリンクを優先したい。 |
記事B | 市街地・高速道路・林道でノーマルと違いを感じない。中級未満ライダーはダートでのサス性能に不満を感じないのでは? 悪化点は、ヒザの曲がりが若干キツいこと・ライポジがやや尻下がりなこと。ただし、ハンドリングや走破性に悪影響は感じない。 |
2つの記事を総合すると
- 純正ローシート+純正ローリンクは80点くらい?
- 純正オプションにそれほど大きな問題はなさそう
根拠②:DRC製ローリンクのECサイトレビュー
参照サイト:ウェビックショッピング
ウェビックショッピング > DRC ディーアールシー:リヤサスリンクキット ローダウン
本記事で紹介する方法で使用するオプションのうち、純正オプションではなく、かつシート高を下げる大きな要因であるのは、DRC製リアリンクです。
よって、DRC製リアリンクのレビューを参照すれば、この記事で紹介する方法独特の乗り味が推測できると考えました。
乗り味に関するレビュー要約(2022.12.24現在)
- 総合評価 4.1/5(15件)
- 乗り心地 4.7/5(6件)
- ポジション 4.4/5(6件)
- ネガティブなレビューとして、「普通体型だと乗り味悪化するかも」「下がり過ぎ」等があった(いずれも利用車種はテネレ700ではない)
レビュー要約から分かること
- 全体的な評価の高さから、使い物にならない商品ではないだろう
- 乗り味のレビューは全体的に良い
- 純正オプションの下り幅では不十分だと感じて初めて使うのがよいだろう
根拠①②③を総合した推測
- 純正ローシート+純正ローリンクは80点くらい?
→本記事で紹介する方法はこれより22mmローダウンさせるので、70~80点くらいが妥当だと判断した。
- 純正オプションにそれほど大きな問題はなさそう
- 純正オプション以外でシート高を大きくローダウンさせる要因であるDRC製ローリンクは、効果は十分で、乗り味のレビューは全体的に良い
→使用オプション自体に大きな欠陥はないと思われる。
- 実際2台納車され、クレーム等がない
→カスタム自体に決定的な問題点はないと思われる。
以上を総合し、最初に示した結論を得ました。
注意点
ローダウンオプションは必須ではない
筆者は身長の低い方に本記事で紹介する方法を是非薦めたいのではありません。
参照記事で指摘されるよう、シート高を下げる以上、本来の乗り味がある程度失われることは避けられません。テクニックにある程度自信のある方・多少足つきが悪くても本来の乗り味を優先したい方なら、ローダウンオプションを使わないことも賢明な選択だと思います。
オプションは跨がった感覚で決める
また、ローダウンオプションを使う場合でも、数値にとらわれず、あくまでも実際に跨がった感覚で決めるのが一番大切だと思います。
「足つきインプレ動画」の動画Bで、原田哲也さん(身長161cm)は、「ノーマルシート+純正ローリンク(857mm)が最も気に入った。純正ローシート+純正ローリンク(837mm)より足付きが良く感じる」と言っています。
「純正ローシートは足付きにあまり関係ない」というような感想は筆者も多く目にします。
本記事で紹介する方法は、「適正身長170~175cmという一般認識を理由に、本当は乗りたいが諦めた」という方へ向けた、あくまで提案の一つに過ぎません。
以下は、オプションの組み合わせによるシート高をまとめた表です。可能なら、この6通りの中から実際に跨がった感覚がしっくりくる組み合わせを選ぶのが最も確実な方法でしょう。手間はかかりますが笑。
ノーマルリンク | 純正ローリンク(-18mm) | DRC製ローリンク(-40mm) | |
ノーマルシート | 875mm | 857mm | 835mm |
純正ローシート(-20mm) | 855mm | 837mm | 815mm |
おわりに
いかがでしたか?
本サイトでは、バイク好きな仲間のために、そしてふつうに自分のために、有益な情報だけ厳選してまとめています。
楽しいバイクライフの役に立てばとても嬉しいです。
なお、YSP刈谷に電話で確認したところ、オプションパーツは持ち込み・店舗注文どちらも可能ですが、作業代の関係で持ち込みの方が高くなるかもしれないとのことです。
店舗により事情が違うので、事前に電話するといいですね。
ではまた〜。
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